映画「アクト・オブ・キリング」|公式サイト 2014年4月 シアター・イメージフォーラム他 全国順次公開
いや・・すごかった。ストーリーや背景は公式ページ見ていただくとして、簡単な感想を。
(セリフはニュアンスを思い出しで書いているので、多少違っていても勘弁)

 ちなみに映画見た後ショックでふらふらと、地下鉄にも乗らずに歩いて家に帰りましたよ。

ノリノリ

 主役的なアンワルさん。60歳くらいのおじいさんです。彼は、過去の虐殺の様子を、「いやー最初は殴って殺したけど、血が出てくさいから、針金で首を絞めるやり方にしたんだ。」と楽しい思い出のように語ります。「殺人のことは踊って忘れることにしたよ」とか言って踊りだしたり。その踊っているとこだけ抜き出せば、ダーツの旅の第一村人みたいな感じですが、空恐ろしいです。

癒着

 アンワルさんは民兵組織(暴力団)の人です。でも、普通に、大臣や州知事が組織のイベントに出て応援に来たりします。アンワルさんは公共放送に英雄扱いで出演までします。アンワル「映画をまねて共産主義者を針金で首を絞めてやりましたよ、ははは」、アナウンサー「慈悲深いやり方で共産主義者を葬ったのですね。素敵です」的なやり取りがあって、おいおい、、と思いました。ただ、一応、かの国の名誉のために言っておきますと、放送室では「こいつ正気か?」的な空気でした。

友人たち

 アンワルさんの友人で、同じように「共産主義者」と決めつけてたくさん殺して、今は金持ちな人が出てきます。その人は、俺は良心の呵責はないと言って、家族と楽しくショッピングモールで買い物をします。また、別の友人(同一人物かも)は、「ハーグ条約?怖くないね。勝者が裁くんだ。俺たちは勝者だ」とうそぶきます。

 ただ、面白いのが、虐殺映画を撮っていくなかでヤバい!と思ったのか「俺は、こんな虐殺していたなんて知らなかった」「いやー、君たちは手際よくやったんだね。すぐ近くにいたけど気づかなかったわ~」とか言い出す人がいました。皆から「きづかないわけねえだろ!」と突っ込まれていましたが。

良心の呵責?

 アンワルさんは合間合間で「実は、夜にうなされている・・」「殺したやつの目が忘れられない」とぽつぽつとつぶやきます。良心の呵責でしょうか・・・。表向きは、あいつらを殺してやったよ的な態度ですが。映画ではあえて被害者役をやったのも彼の自分では気づかざる良心だったのかもしれません。

そして慟哭

 アンワルさんたちが撮っていた映画のラストは、被害者が「わたしを処刑してくれてありがとう」と言ってアンワルさんに勲章をかけるというもので、さすがにこれはひど過ぎると思いましたよ。

 アンワルさんは結局このまま終わるのかと思ったのですが。最後、衝撃のシーンにいきます。


 アンワルさんが映画の冒頭あたりで「ここで針金で殺したよ」とノリノリで解説した場所を再度訪れます。そして、また「ここでこうやって殺して・・」と話していたところ、突然、おええええ!と嘔吐します。「死体はこの袋に・・・」と解説を続けようとすると、また、おえええ!と嘔吐。力なく去っていきます。ここは出来過ぎていて、え?演技じゃない?と思ったほどです。

あと、だれもが突っ込むだろうけど。

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抗したいのは人間の非人間化

 こういう虐殺って、あいつらは人間じゃない、敵だ!と非人間化することで起こることだと思います。そして、やらなきゃ俺たちがやられる!やれやれ!と熱に浮かされてやる(逆に、やらないとお前も敵かと言われる)。もし、そういう流れになったときに抗することが出来るか、、、。そのことを自問自答する機会が出来ただけでも見た甲斐のある映画でした。あと、言い方は難しいですが、アンワルさんの苦悩には救われました。やったことは許されないですが、苦悩するということは良心があるということで。